ウレタンはソファを作る上で欠かせない素材のひとつなのですが、実は「座り心地」や「耐久性」に直結するソファ最大の要(かなめ)でもあります。
匠ソファでは、ウレタン加工技術を要する国内工場と提携することで、ウレタン加工にこだわった高品質なソファを製造・販売しています。
使用するウレタンの種類や加工方法によって「座り心地」や「耐久性」「デザイン性」まで大きく左右されますので、ソファ選びの際にはウレタンのスペックにも注目することをおすすめします。
目次
ウレタンとは
ソファに使用されるウレタンは軟質ウレタンフォームと言い、原料となるポリオールやポリイソシアネート、発泡剤などを混ぜて起こる化学反応で固めたクッション素材です。
身近なもので言うとスポンジもウレタンの一種なのですが、それを更に高密度にしたものがソファには使われています。
ウレタンは中に複数の気泡を含んでおり、それがあることによって弾力が生まれるためクッション材として使用されます。
また、長年使用して負荷が掛かり続けることでその気泡が潰れて厚さが復元しなくなってくるのですが、それがクッションが「へたる」という現象です。
一般的にソファがへたっている状態と言うのは、このウレタンが潰れてしまった状態のことを差している場合が多いです。
ウレタンの種類
ウレタンは加工方法によって「スラブウレタン」と「モールドウレタン」、そしてウレタンの端材を再利用した「チップウレタン」に大きく分類されます。
ここではその3種類のウレタンについて紹介します。
スラブウレタンとは?
ソファのクッション素材として主に使用されているのがこのスラブウレタンです。
最初はとても分厚い板状なのですが、用途に合わせてカットして使用します。
ソファで使用されているパーツはクッションやソファ本体の周囲など多岐にわたります。
座面クッションに使用される場合、異なる種類のスラブウレタンや後述するチップウレタン、フェザー(羽根)や綿を重ねて座り心地の特徴を出します。
《 POINT 》
通常は薄くスライスした板状のスラブウレタンを使用するのですが、匠ソファでは柔らかなスラブウレタンを削り出して形状加工する特殊な二次元ボイマー加工を施すことが出来るため、様々な厚みや形状のスラブウレタンをソファに使用しています。
モールドウレタンとは?
型(モールド)に原料を流し込み、発泡させて固める方法です。
そのため、完成形は型と同じ形状になります。
スラブウレタンでは実現が難しい曲線系などの複雑な形状を作る際にはモールド成型が向いています。
型から作られるためモールドウレタンの外側にはパンの耳のような膜が出来ます。
その硬い膜があるため耐久性が高いのも特徴です。
ただし、表面の膜が裂けたりすると耐久性は落ちるため、モールドウレタンはスラブウレタンのようにカットして使う用途には向きません。
また、金型を作るのにコストが掛かるため、導入のハードルが高いのも大きなネックです。
そのため同じ形のものを大量生産するのには適していますが、金型のコストが高いことや膜があるためカット出来ないといった特徴から、複数のサイズバリエーションを作ったり、サイズオーダーすることは難しくなります。
《 POINT 》
匠ソファではウレタン加工メーカーの技術を要する工場と提携しているため、特殊なボイマー加工を行うことでスラブウレタンを自由自在に形状加工出来ます。
また、座り心地を追求するため複数種類のスラブウレタンを形状加工して積層する構造であること、多くのソファがサイズオーダーにも対応していることなどから、現時点ではモールドウレタンは採用していません。
チップウレタンとは?
ウレタンフォームの端材を粉砕し、接着剤と混ぜて高温圧縮して成型されたウレタンです。
何色も混ざった色をしているのですが、これはチップウレタンを作る際に使用するウレタンフォームの種類によって色が異なり、それらを混ぜて作るためです。
再生ウレタンなので、スラブウレタンやモールドウレタンと比較すると最もコストは抑えられます。
また、圧縮して作られるため型崩れしにくい硬さが特徴で、主にクッションなどの芯材として広く使われています。
《 POINT 》
チップウレタンはスラブウレタンよりも硬く、座面クッションに厚く使用するとどうしても底突き感が出てしまうため、匠ソファでは座り心地へのこだわりから座面クッションの座り心地に関わるパーツにはチップウレタンを採用していません。
ウレタンのへたりについて
ウレタンは中に複数の気泡を含んでおり、長期間に渡って負荷が掛かり続けることでその気泡が潰れて厚さが復元しなくなってくるのですが、それがクッションが「へたる」という現象です。
一般的にソファがへたっている状態と言うのは、このウレタンが潰れてしまった状態のことを差している場合が多いです。
ヘタらないウレタンと言うものはなく、どんなに高密度なウレタンでも最終的にはヘタってしまいます。
ただし、ヘタるまでのスピードはそのウレタンの密度や厚さ、使用頻度などによって大きく異なります。
尚、ヘタってしまったウレタンを元通りに直すことは出来ません。
一般的にウレタンのへたってしまったソファは座り心地が悪くシルエットも崩れるため、ソファの買い替えとなるケースが多いです。
スラブウレタンの種類と密度
ウレタンは一立方メートル当たりの体積で表現されます。
単位:kg/m3(キログラム毎立方メートル)
密度が高いということは中に含まれる気泡が細かくなるため、一般的には密度の高さが「硬さ」と「耐久性」に比例します。
密度が高いほどに硬くて高耐久なウレタンということになるのですが、中には高密度・高耐久でありながら柔らかさを備えた特殊なウレタンもあります。
一般フォーム:密度16kg/m3~40kg/m3
ふわふわとした柔らかさが特徴のウレタンです。
潰れやすいので感触は心地良いのですが耐久性には劣ります。
ただし、密度の高い40kg/m3になると耐久性も高くなります。
クッション材や梱包資材としても幅広く使われます。
ソフトタッチフォーム:密度20kg/m3~35kg/m3
柔らかく、荷重を掛けるとふんわりと縮みます。
ソファのクッションやベッドのマットレスなどに使用されます。
低反発フォーム:密度40kg/m3~75kg/m3
荷重を掛けるとじんわりと沈み込む反発力の少ないウレタンです。
沈んだ後の復元する際にもじんわりとゆっくり戻ります。
特殊なマットレスや特殊な枕・クッションなどに使用されます。
ラバータッチフォーム:22kg/m3~50kg/m3
もっちりとした柔らかさと優れた弾力性があり、耐久性にも優れています。
弾力性があるため復元力が高く、クッション材として優秀なウレタンです。
ソファのクッションやマットレスに使用されます。
高触感フォーム:40kg/m3~75kg/m3
高密度でありながらしっとりもっちりとした心地良い柔らかさが魅力のウレタンフォームです。
また、端材をチップウレタンへ再利用することが出来ないため、今回紹介したウレタンの中で最も高価なウレタンでもあります。
柔らかさと耐久性という両極を叶える高品質なウレタンで、中でも最上級の密度75kg/m3をソファで使用することは非常に稀です。
主にベッドのマットレスに使用されます。
《 POINT 》
匠ソファではラバータッチフォームの50kg/m3をベースに厚く使用しています。
更に異なる密度のウレタンも積層して座り心地を作り込んでいくのですが、中でも「RIAN-利庵」シリーズのソファには最上級の75kg/m3の高触感フォームを贅沢に使用しています。
ソファの座面に主に使用されるウレタンの密度
国産ソファの座面クッションに主に使用されるウレタンの密度を紹介します。
国産ソファで多く使われているスラブウレタンは密度が【約20kg/m3~30kg/m3前後のウレタン】です。
下層部はチップウレタンでしっかりと芯を持たせつつ、その上に20kg/m3~30kg/m3のスラブウレタンを積層してふんわりとした感触を作り出します。
前提として、座面クッションには厚くチップウレタンを使用するソファが多いです。
座面クッションの厚さの内、約1/3~2/3ほどがチップウレタンで、その上にスラブウレタンを重ねています。
チップウレタンはヘタリにくくコストも抑えられるためメリットが多い素材なのですが、匠ソファでは座面のクッション性に対して底突き感の原因となるため、座面クッションには基本的に使用していません。
匠ソファこだわりの高密度ウレタン
座面クッションのウレタン
匠ソファでは50kg/m3を基本として、約40kg/m3~75kg/m3の高密度ウレタンを贅沢に座面クッションに使用しています。
チップウレタンは座面クッションの前方が型崩れしにくくなるように補強で部分的に使用することはありますが、座面クッションに分厚く使用することは決してありません。
これは、匠ソファが追及する「感動する座り心地」を実現するにあたり、座面クッションから「底突き感」が出てしまうのを防ぐためです。
座面クッションのほぼ全てを高密度なスラブウレタンで作っているソファは珍しく、匠ソファの大きな特徴となっています。
また、異なる高密度ウレタンを積層することによって、ソファでくつろぐ人の体重を優しくしっかりと受け止め、匠ソファ独特の底突き感の少ない上質な座り心地を実現しています。
さらに、スラブウレタンをただ平らにカットするだけでなく、曲線で削り出したりパーツ毎に細かく形状を変えて使用することで、ソファ毎の座りのコンセプトに合わせたクッション性に変えてお作りしています。
そのため、匠ソファは機種ごとに全てクッション性・座り心地が異なるのも大きな特徴となっています。
ソファ本体のウレタン
ソファ本体にもウレタンは使用されるのですが、その際には構造体となる木枠フレームに70kg/m3~100kg/m3のチップウレタンを貼りつつ、その周囲に30kg/m3~40kg/m3のスラブウレタン(ラバータッチフォームや一般フォーム)を適材適所に積層して使用しています。
匠ソファの本体部分を触って押し込むと構造体の木枠には簡単に届かず、もっちりとした弾力が感じられるのはそのためです。
これだけ贅沢にソファ本体にウレタンを使用しているソファは珍しく、クッションの無い状態でソファ本体に寄り掛かっても中の木枠の硬さを感じないように設計しています。
また、お子さんが不意にソファにぶつかってしまった場合にも、中の木枠の硬さを感じることはないため安全です。
さらに、ウレタンを厚く積層して立体的に仕上げるため、「フルカバーリングソファ」とは思えない美しいシルエットを実現しています。
ウレタンがへたってしまった場合は?
匠ソファのウレタンが経年でへたってしまった場合は、ソファの買い替えではなくウレタンパーツの買い替えでの対応が可能です。
また、ウレタンパーツに限らず匠ソファは「パーツ毎にリフォームが出来るソファ」ですので、気に入ってご購入いただいたソファは一生モノのソファとして長くご愛用いただけます。
▼匠ソファリフォーム例
・ウレタン座面クッションの交換
・クッションのフェザー追加吹き込み
・ソファカバーの着せ替え(クッションから本体まで全パーツ着せ替え可能)
・ソファカバークリーニング
・脚パーツの交換
・木部パーツの交換
・その他(修理等)
※他社製ソファのリフォームは行っておりません。
高密度ウレタンの魅力を感じられるおすすめのソファ
匠ソファでは高密度ウレタン50kg/m3をベースに、様々な種類のウレタンを使い、「感動する座り心地」を追求したソファを開発しています。
今日はその中からウレタンの特徴に合わせてピックアップしたおすすめのソファを紹介いたします。
もっちり弾力、高触感フォーム75kg/m3の心地良さ
最高級のウレタンを贅沢に使用したもっちりとした弾力が心地良いソファを紹介します。
「LA SOFA/LA カウチソファ」
ゆったりとした奥行きの広さと、二次元加工で表現した丸みのある座面クッションの弾力が魅力の大型ソファです。
国産ソファ最大級の圧倒的広さも魅力です。
「LB SOFA/LB カウチソファ」
ふんわりと包み込まれる気持ち良さが魅力の上質フェザークッションソファです。
しっとり柔らかなクッションに加えて、底突き感を与えないもっちりと弾力のある座面クッションも魅力です。
高密度ウレタンが生み出す硬めで心地良いソファ
座面を高密度ウレタンのみで構成されたハードクッションソファを紹介します。
「LD SOFA/LD カウチソファ」
アームテーブル付きの片肘デザインソファです。
アームから背もたれに掛けて天然木無垢材がデザインに取り入れられたスタイリッシュさも魅力です。
「RX-F SOFA/RX-F カウチソファ」
床座りのようにソファの上でくつろぐことをコンセプトに開発した奥行きが広いリラックスソファです。
低めのアームは横になった時の枕代わりにちょうど良い高さです。
高密度ウレタンとフェザークッションの心地良さ
高密度ウレタンを使いつつ、フェザークッションの柔らかさが心地良いソファを紹介します。
「RX-G SOFA」
ゆったりとした広い奥行きとふかふかのフェザークッションが魅力のリラックスソファです。
高密度ウレタンで覆われた背もたれに囲まれるようなデザインで、圧倒的な包まれ感を楽しめます。
「PL-PRIVATE-SOFA」
心地良さを凝縮させた一人掛け専用ソファです。
四角くカットした高密度ウレタンを背クッションの左右に内蔵して、背中周りのホールド感をアップさせた気持ち良さが魅力です。
ウレタンはソファの要
「座り心地」と「耐久性」、さらに「デザイン性」にまで大きく関わるウレタンは、国内海外問わず現代のソファの要となる素材です。
匠ソファではウレタン加工技術を擁する工場と提携することで、パーツ毎に細かくウレタンパーツを使い分けたソファを開発しています。
座った瞬間の気持ち良さはもちろんのこと、数時間くつろいだ後にも快適な居心地の良さを感じていただける匠ソファのモノ作りの中でも、ウレタンは最重要素材です。
また、クッションだけに限らず、匠ソファ本体の周囲に使用するウレタンの質や量も圧倒的で、デザイナーズソファならではの美しいシルエットと、衝撃に対する高い安全性も兼ね備えています。
ソファ選びの際には、是非ウレタンにも注目してみてください。