「ウレタン」という素材は、ソファのように座ったり寝そべったりする家具や寝具に使われる素材です。
なんとなくイメージできても、ウレタンが具体的にどのようなものなのかを知らない方が多いのではないでしょうか。
しかし、ウレタンのことを知った上で、良いソファを選んでいただきたいということから本記事を執筆します。
本記事では、ソファに使われている素材の1つであるウレタンについて解説します。
目次
ウレタンの基本

まずは、ウレタンがどのような素材であるのかということから解説しましょう。
ウレタンの仕組み
ウレタンとは、正式には「ポリウレタン」という素材です。
簡単に言えば、原油から取れる素材と、水などを混ぜた液体を化学反応によって膨らませ、それを固めた素材がウレタンです。その膨らませたときの密度などによって、ウレタンの硬さ・柔らかさが変わります。
ソファだけでなく、マットレスやクリーナー、住宅の壁、マスクなどにも使用されている、現代人には大変馴染み深い素材と言えるでしょう。
ただし、同じウレタンでも、作り方によってさまざまな種類があり、ソファのような家具に用いられているのは、一般的に「軟質ウレタンフォーム」と呼ばれている素材です。
かつては天然素材の海綿が使用されることが多かったのですが、そのような製品においても、現在では大量生産が可能なウレタンに置き換わっています。
ウレタンは、スポンジのような細かな泡状の構造をしており、その細かい泡の中に空気が含まれています。ウレタン内部に含まれている空気の量で、ウレタンの密度や硬さ、伸び率、引き裂き強さなどが変わります。基本的に密度が大きいと空気の量が少ない硬いウレタンになり、密度が小さいと空気の量が多い柔らかいウレタンになります。
もちろん、本記事のメインテーマであるソファにもウレタンはしっかり使用されています。作り方によって性質の異なるウレタンを生産できるので、ウレタンにこだわりを持っているメーカーは、それだけ優れたソファを製造していると言うことができます。
ウレタンはソファのどの部分に使われている?

「ソファにもウレタンが使われている」と上述しましたが、具体的にソファのどの部分にウレタンが使用されているのでしょうか。
ソファにおけるウレタンは、柔らかさや座り心地に大きく関わる素材として、座面および背もたれの内部に仕込まれています。
ウレタンはソファの内部構造をなしているものですから、ソファを使用している人が内部のウレタンを目にする機会は、よほどのことがない限りないでしょう。
そして、まさに目にする機会がないために、ソファに使用されているウレタンの状態を正確に把握することは困難です。つまり、ウレタンの劣化は、見た目ではなく座り心地が変化することによってしか知ることができないのです。
ウレタンもまた人の手によって作られたものですから、ソファをバラバラに分解し、劣化したウレタンをDIYで交換することも不可能ではありません。ただ、ウレタンは入れさえすれば良いわけではありませんので、修繕が必要な場合はプロに依頼して直してもらってください。
ウレタンの種類
ひと口にウレタンといっても、実は作り方によって大きく3つの種類があります。
スラブウレタン
ソファのクッション素材として主に使用されているウレタンです。
最初はとても分厚い板状なのですが、一般的に用途に合わせてカットして使用します。
ソファで使用されているパーツは、クッションやソファ本体の周囲など多岐にわたりますが、座面クッションに使用される場合は、異なる種類のスラブウレタンや後述するチップウレタン、フェザー(羽根)や綿を重ねて座り心地の特徴を出します。
モールドウレタン
型(モールド)に原料を流し込んで発泡させて固める方法で作られるウレタンです。
完成形は型と同じ形状になり、スラブウレタンでは実現が難しい複雑な形状を作る際にはモールド成型が適しています。
硬い膜があるため耐久性が高いのも特徴ですが、表面の膜が裂けると耐久性が落ちるため、スラブウレタンのようにカットして使う用途には向いていません。
また、金型を作るのにコストが掛かるため、導入のハードルが高いのも大きなネックです。
同じ形のものを大量生産するのに適していますが、金型のコストが高く、また膜があるためカットできないといった特徴から、複数のサイズバリエーションを作ったりサイズオーダーするのは難しくなります。
チップウレタン
ウレタンフォームの端材を粉砕し、これを接着剤と混ぜて高温圧縮して成型するウレタンです。
使用する素材ごとに何色も混ざった色をしていますが、再生ウレタンなのでスラブウレタンやモールドウレタンと比較するとコストは抑えられます。
また、圧縮して作られるため型崩れしにくい硬さが特徴で、主にクッションなどの芯材として広く使われている素材です。
ウレタンは消耗品
ウレタンは用途が広く利便性の高い素材ですが、ソファの場合は、とくに表れやすい特徴として「へたれる」というリスクがあります。
ウレタンはスポンジ状の形状をしており、内部には無数の気泡部分が存在しています。
普段台所などでお使いになっているスポンジをイメージしていただければわかりやすいのですが、柔らかいスポンジは、手でぎゅっと握るとつぶれていきますが、力を抜くと元の形状に戻っていきます。
ウレタンにもこれと同じことが起こります。
人の体重がかかるとその分だけ沈み込みますが、ソファから離れると元の形状まで戻ります。そのような反発力がソファの柔らかい座り心地を実現しているわけです。
しかし、長くソファを使い続けていると、次第に元の状態に戻らなくなってしまいます。
その主な理由は、座る人の体重を長い間受け続けることにより、ウレタンが損耗してしまい、元の状態に戻る力を失うということです。
もちろん、長く使いつづけることによって劣化するのはウレタンだけではありません。たとえばフレーム部分なども劣化すれば、ソファを修理したり処分したりする理由になります。しかしウレタンは消耗品であることを念頭に置いて、いつかは座り心地が悪くなってそのままでは使いにくくなることを覚えておいてください。
ウレタンがへたってしまったらどうするべきか?
では。ソファ内部のウレタンが損耗してへたってしまった場合はどうすればいいのでしょうか?
私たちソファのプロフェッショナルとしては、できるだけ早く修理に出すことをおすすめします。
ソファの修理は、購入したソファのメーカーが請け負っているケースが多いですが、何しろ長年使いつづけているソファですから、もしかしたらメーカーが倒産したり廃業したりしていることもあるかもしれません。その場合は、ソファ修理の専門業者というものがありますので、そこに依頼してください。
ソファの修理を業者に依頼すると、もちろん修理費用がかかることになります。
大切なソファをこれからも愛用したいのであれば、ウレタン交換などの修理をすることをおすすめします。
なお、実はソファ用のウレタンはホームセンター等で購入することもできます。そこで、DIYで自分でウレタンを交換しようと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、プロとしてはご自分でウレタンを交換することはおすすめできません。
その理由はいくつかありますが、最も大きいのは、元の座り心地を再現することが難しいからです。
ソファのウレタンはただ入れ込めば良いというわけではなく、上質な座り心地を再現するためのウレタンへのこだわりと、高度な職人の技術力がなければ元のような座り心地は絶対に取り戻せません。
大切なソファを台無しにしてしまわないためにも、ウレタンがへたれてしまったソファはプロの手によって修理してもらってください。
匠ソファからのアドバイス
メーカーではない修理業者に依頼する場合は、残念ながら費用が割高になる可能性が高いでしょう。
その理由は、メーカーと違ってそのソファの設計図を持っておらず、また同じ素材を用意するのに手間がかかるためです。できるだけメーカー公式の修理を依頼することをおすすめします。
「ソファ」と「ウレタン」

次に、ソファとウレタンの関係について解説します。
ウレタンはソファの品質に大きく関わる
ほとんどのソファにはウレタンが使用されています。
ソファごとにウレタンの品質は大きく異なっていますので、ソファ選びにおいては最も重視すべき「座り心地」は、使用されているウレタンの品質によって得られていると言っても過言ではないでしょう。
厳密に言えば、ソファの座り心地にはウレタン以外の要素もが関係していますが、ウレタンが座り心地に与える影響がほかの要素よりも大きいのは確かです。
ウレタンは高品質なほどコストも余計にかかるので、それを使用しているソファもそれだけ高価なものになります。満足感が得られる買い物をするには、使用されているウレタンに自信があるメーカーのソファを選ぶことをおすすめします。
ウレタンでソファの耐久性が決まる
また、ウレタンは「耐久性」に大きく影響します。
密度の低いウレタンは早期にへたってしまいますが、密度の高いウレタンなら高い耐久性をもち、長持ちします。
どこのソファメーカーでもそれを知っているはずですが、実際に売られているソファを見ると、密度の低いウレタンを使用しているソファがとても多いです。
なぜなら、密度の低いウレタンは原価が安く、密度が低くても柔らかいクッション性を与えることができるからです。
そのような密度が低くクッション性の柔らかいウレタンは、クッションの上部(体に触れる部分)に使われていますが、それだけだとへたりが早いので、クッションの下層部に「チップウレタン」が使用されることが多いです。
チップウレタンというのはウレタンの端材を集めて圧縮し再加工したウレタンで、密度が高く、耐久性があり、価格も安いことが特徴です。
ただし非常に硬いことがデメリットで、座った時にチップウレタンの硬さが「底突感」となって出てしまいます。
チップウレタンは適材適所に使うべきものであり、クッションでメインに使用すると、硬すぎて圧迫感を感じてしまうのです。
しかし、ソファのクッションのメインに「チップウレタン」が使用されることが多いのがソファ業界の現状なのです。
ソファ選定時にはウレタンの品質を確かめることが重要
ソファ選びにおいては、ソファに使用されているウレタンの品質を見きわめましょう。
クッション内部を確認するのが一番確かですが、内部を見ることができない仕様のソファだったら、サンプル等を見せてもらい、実際にどのような品質のウレタンを使用しているかを確認するのがおすすめです。
そのソファの「耐久性」を確認するには、密度の高いウレタンが使用されているかということを見てください。30kg/1m3以上のウレタンが使用されているようなら、「耐久性」は良い方だと言えるでしょう。それ以上なら尚良しです。
ただし、チップウレタンの場合は、座り心地がかなり硬くなります。チップウレタンは型崩れ防止のために使用されているか、最下部に使われているぐらいが望ましいでしょう。
サンプル等を見せてもらったら、触り心地を確認してみてください。上質な「ウレタン」は触っただけで違いがわかります。弾力がしっかりしていて、しっとり感があります。一般的なウレタンを比較すると一目瞭然で、気泡などが少なく、密度がしっかりと詰まってきれいです。
上質な「高密度ウレタン」が使われていたら「耐久性」の面では安心ですし、あとは積層具合いや、フェザーなど上部の素材等を確認すれば、「座り心地」もきちんと確認できるでしょう。
もし「ウレタン」の説明がなく、品質も確認できないようであれば、そのソファの購入はよく考えたほうがいいかもしれません。
「中身がわからず買ってしまい、後で後悔する」のは、ソファ選びのよくある失敗です。
ソファは目に見えない内部構造が重要なので、確認を怠ると後々後悔することになりかねません。
どういった特徴のウレタンが使用されているかということによって、座り心地や耐久性を知ることができます。販売店に足を運んで実物を確かめることも重要ですが、その前に、しっかりと情報収集しておくことも重要なのです。
ソファの説明にウレタンについての記述がない場合は?
すべてのソファメーカーが、使用しているウレタンについての情報を開示しているわけではありません。ホームページやカタログの説明項目にウレタンに関する記述がない場合もあります。
メーカーの姿勢にもよりますが、そのような場合には、使用しているウレタンの品質に自信がないのかもしれません。
それでも気になったソファがあるのであれば、実際に販売店で座らせてもらって、座り心地を確かめてみてください。
匠ソファからのアドバイス
上記のように、カタログやホームページの情報だけでは、ウレタンの品質がわからないこともあります。
その場合はメーカーに問い合わせてみたり、販売店のスタッフにわからないことを残らず質問しておきましょう。
匠ソファの「高密度ウレタン」

前述のとおり、ソファにとってウレタンは切っても切れない関係にあると言えます。
私たち匠ソファは、ソファに使用するウレタンに対して大きなこだわりを持っています。
国産ソファトップレベルの高密度

匠ソファが製造しているソファは、50kg/m3を基本として、約40kg/m3~75kg/m3の高密度ウレタンを贅沢に座面クッションに使用しています。
ここで知っていただきたいのは、チップウレタンは座面クッションの前方が型崩れしにくくなるように補強的に使用することはありますが、座面クッションに分厚く使用することはないということです。
これは、私たち匠ソファが追及する「感動する座り心地」を実現するにあたって、座面クッションから「底突き感」が出てしまうのを防ぐためです。
「底突き感」というのは、柔らかいクッションに座っているはずが、長く座っていると硬い物の上に座っているような底に当たっているような感じがすることです。底突き感が出てしまうと、長く座っていられない居心地の悪さを感じるでしょう。
一般的にウレタンは密度が高くなればなるほどに硬くなり耐久性も上がっていきます。
私たちが使用している超高密度ソフトウレタンは、「圧倒的な高密度」にもかかわらず「柔らかい」のです。
この「柔らかさ」は密度の低いウレタンの柔らかさとは違い、キメの細やかな「モッチリとした反発力のある柔らかさ」です。
もちろん圧倒的な密度の高さに比例した高い耐久性も兼ね備えています。
私たちは、このように「底突き感」を感じさせないことで、ハイクラスな座り心地のソファを実現しています。
座面クッションのほぼすべてを高密度なスラブウレタンで作っているソファは業界でも珍しいと言えます。まさに私たち匠ソファの大きな特徴です。
ソファ本体にもウレタンは使用していますが、その際には、構造体となる木枠フレームに70kg/m3~100kg/m3のチップウレタンを貼りつつ、その周囲に30kg/m3~40kg/m3のスラブウレタン(ラバータッチフォームや一般フォーム)を適材適所に積層して使用しています。
このようにこだわりながらウレタンに使うことによって、私たちは他社に真似できないような上質な座り心地を実現し、お客様に高い満足感を与えるソファを世の中に送り出しています。
ウレタンの二次元加工

次に、「ウレタン二次元加工」という技術について説明しましょう。
これは特殊な刃物を自在に操ってウレタンを自由な形状に加工する技術です。具体的にはCADデータを読み込み、「ひと筆書き」の要領で、ウレタンを自由な形状にカット・加工しています。
なぜそのような技術が必要かというと、ただ上質なウレタンを用意しただけでは、理想の座り心地を提供するソファは作れないからです。
使用する部位ごとにウレタンの最適な形は異なります。上質な座り心地を実現するためには、今までに蓄積してきたソファの知識と技術を駆使して、最適な形状のパーツを用意する必要があるのです。

たとえば、私たち匠ソファの「LA SOFA」というソファの特長である「もっちり座面」は、しっとりとした柔らかさの超高密度ウレタンを座面の形状に合わせてドーム状に加工して使用することによって実現しているものです。
座面クッション前方から後方にかけてウレタン加工によって傾斜をつけて積層していますが、これは座った時の角度や心地良さを考えた結果たどりついたノウハウです。
また、座面クッション前方はクッションの型崩れを防止するために、下部に硬いウレタンを積層しています。
このように、ウレタン用の高い加工技術を持ち合わせることによって、座り心地や使い心地に優れたソファを実現することができています。
私たちの強みは、もちろんウレタンだけにとどまるものではありません。職人の洗練された製造技術、そしてフルカバーリングによる取り回しの良さなど、さまざまなこだわりをもって上質なソファを製造しています。
私たちのホームページでは、各ソファ製品の情報だけでなく、私たちがどのような点にこだわりを持っているかをご説明しているコラムも掲載しています。ご興味をもっていただけたら、ぜひご覧いただきますようお願いします。
匠ソファからのアドバイス
私たちはソファごとに異なるコンセプトをもたせ、そのコンセプトに合わせて最適な形にウレタンを加工して使用しています。
実際の座り心地は、文字だけの情報ではとても解説しきれるものではないので、ぜひ販売店に足を運んでいただき、実際に実物に座ってみて、座り心地を確かめていただきたいと思います。
【まとめ】重要度の高いウレタンにもこだわってソファを選ぼう
皆さんがソファを選ぶ際には、外見や値段ばかりに目がいきがちだと思いますが、ソファメーカーとしては、最も重視すべき座り心地に大きく関わるウレタンについても考えをめぐらせながらソファを選んでいただきたいと思います。
ウレタンへのこだわりはメーカーごとに大きく異なりますので、上質なウレタンにこだわっているメーカーのソファを選ぶことをおすすめします。
満足度の高いソファをお探しの方は、「感動する座り心地」と「洗練されたデザイン」を両立したソファや各種家具類を多数取り扱っている匠ソファまで、ぜひお問い合わせくださいませ。
