ソファ選びで悩まれていませんか? 多くの方がソファ選びに悩んでしまう理由は・・・
「安い買い物じゃないし・・・」
「購入後は部屋の面積を大きく占領してしまう・・・」
「リビングは来客もあるのでデザインにもこだわりたい・・・」
「失敗しても気軽に買い替えが出来ない(しづらい)・・・」
上記のように、購入時のハードルがとても高いのが主な原因です。
ハードルが高い分、出来ることなら『失敗』はしたくないですよね。 今日は初めてソファ選びをされる方、これから買い替えをご検討されると言う方に、「ソファ選びのコツ」を長年ソファ販売に携わって来た経験を元にお伝えします。
目次
ソファの構造について
本体
ソファの本体は国産の場合、中身はほぼ木枠で作られています。 木枠の組み方で強度は変わりますので、軽いソファは強度が弱く、重たいソファは強度が強いと言うのが一般的です。
そして、その木枠の周囲を「ウレタン」や「綿」などで肉付けしていきます。 この工程は、ソファのシルエットの美しさに大きく影響します。
使用するウレタンの密度や量、形状によって同じ木枠でも全く違うソファになってしまうのです。
ウレタンで厚く覆った本体の肘掛けなどは、直接寄り掛かっても中の木枠の感触が身体に伝わることなく、ストレスのない快適な心地良さを作り出します。 反対に、ウレタンが薄くて木枠の感触が身体に伝わってしまうソファも多いのでチェックしてみてください。
木枠、ウレタン、その加工方法も含めて、全てがコストに反映されます。
手間を掛けて作られたソファ本体は重量と強度があり、高感触でデザインに立体感も生まれ、安心感とグレードの高さを感じることが出来ます。
張地の種類
ソファの表面に使用される張地は主に【①ファブリック(布)】【②本革】【③合成皮革】があります。 それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最適な張地を選びましょう。
ファブリック(布)
〇 メリット ・カラーバリエーションだけでなく、組成から織り方の違いなど種類が豊富。 ・肌触りが心地良く、夏もベタつきにくい。 ・本革に比べてリーズナブル。 ・カバーリングソファの場合、ソファカバーをドライクリーニングすることが出来る。(水洗いが出来るものもあります。)
△ デメリット ・汚れや生活臭が付きやすい。 ・使用頻度によって毛玉が出来たり生地が薄くなる。 ・耐久年数は平均約6~7年。
本革
〇 メリット ・重厚感、高級感。 ・仕上げによってはお手入れが楽。 ・使い込むほどに味が出てくる。 ・耐久性が高い。
△ デメリット ・自然素材のため価格が高い。 ・個体差があり、色や質感などが均一ではない。 ・傷痕やシワの跡など、ナチュラルマークが出る。 ・仕上げによってはシミや汚れが付きやすく、定期的なメンテナンスが必要。 ・汗でベタつく。 ・冬は冷たい。 ・表面が滑りやすい。
※デメリットで上げた個体差やナチュラルマークは≪本革ならではの楽しみ方≫と捉えることも出来ますね。
⇒【匠ソファの本革ソファへのこだわり】の詳しいご紹介はこちら
合成皮革
〇 メリット ・種類が豊富。 ・色や質感が均一。 ・本革よりもリーズナブル。 ・お手入れが楽。
△ デメリット ・汗でベタつく。 ・冬は冷たい。 ・表面が滑りやすい。 ・耐久性が低い。
張地の仕様
前述した張地でソファ本体をどのようにして覆うのかで、ソファの使い勝手が大きく異なります。 ソファの張地の仕様には、【①張り込み】【②ハーフカバーリング】【③フルカバーリング】があります。
張り込み
市場で見かけるほとんどのソファがこの仕様で作られています。 本体やクッションをしっかりと張地で覆い、接着剤やタッカー(建築用のホッチキス)を使ってしっかりと留めます。 なかでも、高い職人技術で張り込まれたソファはひとつの芸術作品のような存在感を放ちます。
ハーフカバーリング
ソファ本体は張り込み仕様、付属のクッションはファスナーの開閉で着せ替え出来るカバー仕様で作られています。 クッションカバーの中はすぐに高密度ウレタンが見えるものや、フェザー(羽根)を使ったクッションはフェザーバックに包まれています。 カバーが汚れたり破れたりした場合も着せ替えが容易に行えます。
フルカバーリング
ソファクッションだけでなく本体も着せ替えが出来る「全パーツ着脱可能なソファ」です。 全パーツを着せ替えると新しいソファに買い替えたほどのイメージチェンジが可能です。
本体パーツのカバーは製作が非常に難しく、クッションは綺麗でも本体がだぶついてしまっているソファが多いです。 もちろん張り込みに近いような美しいシルエットを実現することも可能ですが、そのためには本体製作時のウレタン張りからカバーの立体裁断縫製技術まで、高い技術を要します。
⇒【匠ソファのカバーリングタイプへのこだわり】の詳しいご紹介はこちら
本革
本体ベースの仕様
木枠の座面クッションを置く(取り付ける)本体底面の仕様です。 ここの構造はクッション性や耐久性にも影響を与えます。
【①Sバネ】【②コイルスプリング】【③ウェービングテープ】【④床板】などがあります。
Sバネ
鋼線を連続したS字で波のような形状に加工されたバネです。 ソファ本体に対して平行に取り付けられます。
バネの径の太さや張る本数などで、程良いクッション性を持たせることが出来ます。 耐久性も高く、厚みがないためデザインの自由度が高いのも魅力です。
コイルスプリング
弾力性に富んだコイル状のバネを繋ぎ合わせたものです。 バネの伸縮によるクッション性や、高い耐久性が特徴です。 コイルの厚みがあるため底面が厚いデザインになります。
ウェービングテープ
繊維とゴムを編んだベルト状のテープで、木枠に張り込んでクッション性を出します。 ウェービングテープ自体の幅や張る本数、張る方向によって弾力や耐久性が変わります。 厚みがないためデザインの自由度が高いです。
ただし、経年劣化で伸びてしまうため耐久性はバネよりも劣ります。 ウェービングテープを多く張り込むほど耐久性も上がりますが、その分内側へ引っ張る力が増すため木枠を通常よりも頑丈に作る必要があります。
床板
木部をデザインに取り入れた木枠デザインのソファに多く見られる仕様で、バネやウェービングテープなどは無く、板になっています。 クッション性は期待出来ないため座ると底突き感がありますが、経年によってヘタりが起きるといった心配はありません。
クッション材
必ずどのソファにもあるのが『座面クッション』です。 他には『背クッション』『肘クッション』『ボルスタークッション』など、ソファのデザインによって付属のクッションが付きます。
クッション材はソファの座り心地に最も影響する部分です。
フェザー(羽根)
フェザーは羽軸があるため、服などに使用されるダウン(羽毛)とは違い弾力性があり、クッションや枕にも使用されています。 たくさん詰まったフェザーの間に空気を含ませるとふっくらとクッションが膨らみます。
フェザークッションは身体のラインに沿って沈み、さらに身体を包むように移動することで心地良さを作り出します。 座った後のクッションが沈んだ状態(型崩れ)は、クッション表面を叩いて空気を含ませるなどのお手入れで復元させます。
綿
ポリエステル繊維を綿状に加工したものです。 軽量且つ強い弾力があるのが特徴で、フェザーよりもリーズナブルです。 耐久性は他の素材よりも劣る場合が多いです。
ウレタン
ソファのクッション材で最も重要な素材がウレタンフォームです。 ウレタンフォームとは、化学薬品のポリアソシアネートとポリオールを触媒、発泡剤などと配合して作られる均一なプラスチック発泡体です。
種類も豊富で、どのようなウレタンをどのように使用するかでソファの良し悪しを大きく左右します。 一立方センチメートルの体積で表現され、多くの国産ソファに使用されているのは20~36kg/㎡で、中には50kg/㎡以上のさらに高密度なウレタンを使用するソファもあります。 ウレタンは密度が高くなるほど硬度と耐久性が上がりますが、中には高密度でありながら柔らかな弾力を持つウレタンもあります。
ウレタンはクッションの中でも、体重を支える『座面クッション』に最も多く使用されます。 どれが一番良くてどれがダメ、と言うわけではなく適材適所で使い分ける必要があります。
ウレタンの種類
スラブウレタン
無垢のウレタンで、大きなサイズの板状に発砲したウレタンフォームを用途に合わせてカットして使用します。
ソファに使用されるのは軟質ウレタンフォームで、その中にもたくさんの種類があります。
カットした複数のスラブウレタンを重ねることで理想的な座り心地を作り出せるのもメリットです。
ウレタンの形状や積層の順番の工夫はソファ作りの要であり、メーカー毎の特徴が大きく反映されます。
チップウレタン
ウレタンフォームの端材を粉砕し、接着剤を混ぜて蒸気で圧縮成形したウレタンです。 価格はスラブウレタンよりもリーズナブルで、ソファの座面クッションの芯材などに使用されます。 スラブウレタンよりもヘタリに強く硬いのも特徴ですが、座面クッションに厚く使用するとお尻に底突き感を与える原因になる場合があります。
モールドウレタン
形を決めて金型を作り、ウレタン剤を流し入れて発砲したウレタンです。 パンの耳のように表面が被膜で覆われており、高い耐久性を備えています。 丸みがあるような特殊な形状のウレタンも作ることが出来るのも魅力です。
金型製作の費用は高額ですが、一度作ってしまえば同じ形のモールドウレタンを大量に生産することが可能になります。 ただし、スラブウレタンのようにカットしないため幅広いサイズ展開やサイズ別注オーダーには対応出来ません。
ソファ選びの準備
ソファを検討する際には、店頭で商品を試して購入されるという方が多いですよね。
理由は【座り心地の確認】【レイアウトの相談】【搬入経路の確認】【張地の選定】などが、画像だけで選ぶことになるネットショップだけでは難しいからです。 特に高価格帯のソファになると、その辺りをきちんと確認して購入したいと思われる方がほとんどです。
ただし、実際に店舗に向かう前に何も準備していないと思わぬところで躓いてしまうこともあります。 ソファ選びがスムーズに行えるように、事前に準備しておくと便利な物や確認しておくべきポイントについてお伝えします。
用意するもの
・寸法の記載された間取り図。 (※戸建て2階以上への搬入の場合は立面図や断面図も)
確認しておきたいポイント
・ソファ搬入時に通過する経路(玄関扉、室内ろうか、リビング扉など)の【幅】と【高さ】を計測。
・マンションの場合は【エレベーターの扉の高さ】、【エレベーター内の天井高】、【扉が閉まった状態のエレベーター内の奥行き】を計測。
上記の準備があれば、ソファのサイズやレイアウトの決定だけでなく、搬入経路の確認もスムーズです。 特に搬入経路は要注意で、部屋の広さに対しては理想的な大きさのソファだとしても、その場所まで運び込めないと言うケースは少なくありません。
ソファの選び方(座り心地)
【ソファ】は『くつろぐこと』に特化した家具です。 これは『座ること』に特化した家具の【椅子】とは大きく異なる点であり、≪ソファ選び最大のポイント≫でもあります。
ソファの座り心地を試す時のポイントは「くつろいだ姿勢で長めに」がキーワードになります。
靴を脱ぐ
ソファ選びの際には「必ず靴を脱いで」お試しください。 また、バッグや上着も置いて【リラックス出来る状態で試す】ようにしてください。
ソファはただ腰掛けるだけではなく、脚を組んだりオットマンに足を上げたり胡坐をかいたり寝そべったり・・・、リラックス出来るルーズな姿勢で長時間過ごす場合がほとんどです。 家だとソファに座って正面を向いていても腰で座るようなルーズな姿勢を取ったり、肘に寄り掛かって斜めに座ってくつろぐ方も多いですよね。
靴を履いた状態のままだとどうしても椅子のように腰掛ける姿勢で試してしまう方が多く、実際にソファを使う時のリラックス出来る姿勢とのギャップが生まれてしまいます。 これではせっかく店で実物を試しているのに意味がありません。
目安は20分以上
ソファでリラックスする姿勢を取って「くつろぎやすい!」と思ってもすぐには立ち上がらずに、もうしばらくそのまま試してみてください。 長時間試すことで、そのソファに使われているベース部分やクッション性の本質が分かって来ます。
座った瞬間は良くても、長く座っていると「底突き感」を感じて居心地が悪くなってくるソファは多いです。 これは座面クッションの中材に使用しているウレタンや、本体のベースに使用している素材によるものです。
出来るだけ長い時間くつろいでみて、居心地が悪くならないかどうかを確認してください。
耐久性・アフターサービスの確認
クッションや張地などは消耗品ですので、いずれはウレタンがヘタってきたり張地が摩耗するなど劣化してきます。 そうした際の【購入後のアフターサービス】がどこまで可能かは購入前に確認しておきましょう。
張地はカバーリングなのか張り込みなのか、クッション中材の交換は可能なのか、壊れた際の修理は可能なのか、そもそもどれぐらいの年数で心地良さが損なわれるのか。 ソファが届いて数年後には必ず皆さんが直面する困りごとですので、購入前に確認するのを忘れないようにしてください。
ソファの選び方(デザイン・サイズ)
ソファのデザインはお好みでお選び頂いて問題ないのですが、特に気に入ったデザインが無い場合には以下のようなイメージでお選び頂くと商品を絞りやすくなります。
デザイン
ソファのシルエットが大きい程、その分だけお部屋に圧迫感を与えます。 ソファを置く場所、お部屋の広さ、くつろぎやすさを考えながら、デザインを選びます。
背もたれの高さ
ソファは主にリビングの目立つ場所に置くことになるため、「高さ」は重要なポイントになります。 壁を背にした置き方をするのであればそこまで気にする必要はありませんが、最近の間取りで多いのがリビングダイニングの中央でダイニング側を背にしてソファを置くレイアウトです。
この場合、部屋の中央に高さのある家具を置くと圧迫感が出てしまいますので、出来れば背もたれが低めのソファを選ばれると納まりが良くなります。
肘掛けについて
ソファは肘掛けがあるデザインと無いデザイン、または片側だけに肘のあるデザインがあります。 ソファの総幅は肘掛けも含めた幅になりますので、同じ総幅のソファでも肘掛けの有無や肘掛けの幅によって実際に座ることの出来る座面の広さは変わってきます。
そう考えると肘掛けの無いものにした方が良さそうにも思えますが、肘掛けにもあった方が良い理由があります。 ソファでくつろぐ時のことを考えると、肘掛けに腕を置いたり寄り掛かってくつろぐという方は実はとても多いのです。
肘掛けの無いソファのメリットは座面を広く使えることですが、その代わりに肘掛けに寄り掛かる姿勢は取れなくなります。 ご自身でどのような姿勢が最もリラックス出来るかをイメージして、肘掛けの有無をお選びください。
また、肘掛けの幅については、スリムな肘掛けの場合は肘に寄り掛かれて座面の幅も広く確保出来ます。 反対に幅の広い肘掛けの場合には、スリムな肘掛けよりも圧倒的に肘に腕を置きやすく、ルーズな姿勢でくつろぐ方にはこちらがオススメです。
サイズ
ソファのサイズは家族構成を考えながら選ばれる方もいらっしゃると思うのですが、結果として多くの場合に優先されるのが部屋の広さと間取りです。 生活動線を確保した上で、最大幅で選ばれるのをオススメします。
ソファは横になってくつろぐことも多いので、【無理のない範囲で広めのサイズ】にした方が良い場合が多いです。
知っておきたい自然素材の特徴
ソファには天然木無垢材が表面に使われている木枠デザインのソファや、本革を使用したソファがあります。 これらの自然素材には必ず【個体差】があるということは覚えておいてください。
天然木無垢材
展示と同じ木目で商品が届くことは絶対にありません。 また、同じ樹種でも色の濃いもの薄いもの、木目にも様々な表情があります。 樹種を選べる場合は色だけで見るのではなく、その樹種の木目の個性や表情を理解してお選びください。
本革
牛本革と一口に言っても一点一点でやはり個性があります。 銀面つきの革は傷やシワの跡があったり、仕上げの方法によっては染まり方にムラが出たりします。 また、硬さも微妙に違います。
上記のように、自然素材ならではの【個体差】は必ず表れ、それが味であり最大の魅力になっています。 もしも均一なものを求められる場合には、自然素材ではなく人工素材(木目調シートや合成皮革)をお選び頂くと安心です。
奥が深いソファの世界
ソファは表面が張地に覆われているため、外からは中身が分かりません。 ただし、中身のこだわりは必ず表面にも出てきますし、座ってみると違いははっきりと表れます。 さらに、耐久性やアフターサービスについても考えて作られているかも重要です。
ソファ選びは奥が深いため、ソファの商品知識やアフターサービスも安心な「ソファ専門店」で選ばれることをオススメします。